リードナーチャリングという言葉を聞いた事はあるでしょうか。マーケティングを担当されている方なら聞いたことあると思います。
リードナーチャリングとは見込み客(リード)を育成する取り組みになります。まだ商談が出来ない見込み客(リード)に対して、情報提供を行いながら、商談ができるような状態に持っていく活動になります。
これは、マーケティング担当者がメール配信やDMなどを活用して行っているケースが多いのですが、このリードナーチャリングを専任として担当するのがインサイドセールの役割になります。
厳密には企業によってインサイドセールスの範囲は変わってくるのですが、この育成活動で成果が出せるかどうかが、インサイドセールスを活用して成果をアップできるかどうか?につながっていきます。
インサイドセールスで育成活動が重要な理由
インサイドセールスはテレアポと同じようなイメージの方もいるのですが、インサイドセールスとテレアポは違います。このあたりは、「インサイドセールスとは?【新しい営業で他社に差をつける!】」で詳しく紹介しているのでそちらを参考にしてください。
インサイドセールスは、見込み客(リード)を電話やメールで接点を取りながら商談が出来る状態に育成していきます。
営業は大きく分けると2つの活動を行っています。
- 商談を見つける活動
- 商談をクロージングする活動
ここで質問ですが、営業で難しい活動は①と②どちらだと思いますか?
答えは、①です。
もし②だと思われた方は、あなたはトップセールスマンなのではないでしょうか。トップセールスマンは①の商談を見つける活動が上手いです。
トップセールスマンは、人間関係の構築が上手く、自然に商談が集まってきます。この商談を見つける活動が難しいと感じない人は基本トップセールスマンか、そのセンスがある方だと思います。
もちろん商談をクロージングするのも難しい面はあるのですが、
基本商談している = お客様は検討している可能性が高い
例えば、あなたが何かを購入しようと考えたとします。その時営業マンによって購入をやめますか?
営業の対応が少々嫌だと感じても、購入したい商品であれば購入する人は多いのではないでしょうか。
すなわち商談をクロージングする活動は、営業の力だけでなくその商品のメリットや機能なども影響するので、少しぐらい営業の商談力がなくてもお客様が機能やメリットに満足すれば購入されるのです。
私の仕事も新規営業がメインの仕事になりますが、正直商談化してからの契約確率は営業経験にほとんど関係なくある程度一定です。(もちろん販売している商品についてはどの営業も勉強しているので、基本的な商品知識はある前提になります。)
インサイドセールスがリードを育成する方法
インサイドセールはどのように商談を育成するのでしょうか?
まずリードの情報はエクセルでもいいので管理しておくようにしましょう。リードに電話してタイミングが良ければ、商談になる事もありますが、大抵は商談化まではいきません。
しかし、その時に聞けた情報などは、こまめにリード情報と紐づけしておく必要があります。
そのような情報を集めていき、そのリードにベストな提案を模索していく必要があるからです。
例えば、あるシステムを販売している企業であれば、現在そのようなシステムを導入しているのかどうか?導入しているのであればいつ頃導入したのか?
こういった情報があれば、老朽化のタイミングをみてアプローチすると検討してくれる可能性があります。
インサイドセールスは、まず自社の商品やサービスを検討する人はどのような人になるのか?しっかり頭に入れ、それを販売するために必要な情報を集めていくことで育成していくのです。
具体的な質問はSPIN法を活用
ここでは、具体的な情報収集のやり方をご紹介します。
いきなり、提案させてください!と言っても商談化は難しいですよね。
まずは、先ほど書きましたように、自社の商品を検討する人はどのような人なのか?どのような課題をもっている場合に検討する可能性があるのか?イメージをつかんでおく必要があります。
よくヒアリング方法として、SPIN法というやり方があります。
- 状況質問(Situation)→リードの状況を質問する
- 問題質問(Problem)→問題点への質問をする
- 示唆質問(Implication)→問題点を解決しない事の重要性を質問
- 解決質問(Need payoff)→問題を解決した場合の理想イメージ
このような方法を活用しながら、いわゆるリードの潜在ニーズを探っていくのです。
SPIN法の例
例えば、あなたがSFAシステム(営業管理のシステム)を販売している会社だとしたら、下記のようなイメージす。
状況質問(Situation)
まずは、リードの状況を確認しる質問をしていきます。
〇〇さんは営業部門ではどのような立場になるんですか?
営業のマネージャーをやってます。
何人ぐらいの営業を管理されているんですか?
10人ぐらいの営業がいますよ。
このようにリードの今の状況を把握していきます。
問題質問(Problem)
問題質問では、状況質問の回答に合わせて問題を提示していきます。
そんなに営業がいたら、管理が大変なのではないですか?
週報は書くようにして営業の活動はある程度は把握していますよ
商談の管理はどうされているんですか?
商談管理は、毎月状況をランク別に提出させているからその資料をみて進捗管理しています。
ここでは、商談管理を月1回の報告だけで管理している事を聞き出し、まだリードはそれを課題と思っていないケースになります。
示唆質問(Implication)
問題質問の状況からその問題点を解決しないといけない認識をもってもらうようにします。
商談の報告が月1回だけだったら、受注や失注もその時になって把握できるんですよね
営業によっては途中で報告してくる担当もいるから何となく状況はわかるよ。
全員が状況報告してくれればいいですけど、中には失注しそうでも報告しない人もいるのではないですか?
それは確かにいるけど、そこまでは管理できないよ
このようにちゃんと管理ができていない事を課題と認識してもらいます。
解決質問(Need payoff)
課題を認識してもらうと、最後は理想のイメージを提示します。
商談状況が把握できないと、せっかく受注できる商談も失注になる可能性がありますよ?
それは分かるけど、そこまで商談を管理するのはこの人数になると難しいよ
SFAシステムを活用すると商談の管理がスムーズになりますよ。
これは〇〇社の事例ですが、SFAシステムの導入で商談の受注確率20%アップさせた事例です。
そんなに変わるの?
このような流れで商談へと導いてきます。
商談化は簡単ではない
先ほどSPIN法で説明しましたが、あくまで例なのでスムーズに商談化にもっていますが、実際はそう簡単にはいきません。
しかし、商談化へもっていく流れ(育成の流れ)はイメージできると思います。
状況を把握して、課題意識をもってもらい、実際の理想をイメージしてもらうこのステップを、電話やメールなどを活用して情報収集していくのです。
例えば、セミナーなどの案内で電話をして、その時に話ができればまずはそのリードの状況を確認し、その情報をリードの管理に登録しておきます。
リードの状況が分かれば、同じような状況の人に、考えられる課題解決の方法などのメール配信して反応があるようであれば、課題解決の重要性を電話で説明してみて、反応を確認します。
このように、リードを少しずつ育成していき、商談化できそうなタイミングを探していくのです。
インサイドセールスの成果を上げるためのツール
インサイドセールスの成果を上げるためにはツールは必須になります。特にMAツールは必須です。
MAツールについては、「マーケティングオートメーション(MA)とは?【新規営業をやるなら必須ツールです】」で詳しく解説していますのでご確認ください。
メール配信での開封状況や本文中のURLをクリックしたかどうか?などインサイドセールスが電話で確認しなくても反応が分かります。
反応があったリードに対してピンポイントで電話をかけるような活動ができるので、業務が大幅に効率化されます。
また、どうしても電話ばかりだとインサイドセールスのモチベーション維持が難しい面もあるのでこのようなツールを活用することで、インサイドセールスのモチベーションを継続させるような事も可能になります。
インサイドセールスの辛さは、「インサイドセールスは辛い。その理由は?【業務の難しさと認識不足が原因】」こちらでも紹介しています。参考にしてください。
インサイドセールスを導入するのであれば、出来るだけMAツールも一緒に検討していくようにしましょう。
まとめ
今回はインサイドセールスのやり方についてSPIN法の活用をしながら、具体的な方法について紹介しました。
インサイドセールスにとって販売する商品の商品知識は必須です。実際どのようなメリットがあるのか?この商品を購入する人はどのような課題を持っている人か?こういった情報をインサイドセールスが把握しておくことで、商談化率がアップしていくのです。
インサイドセールスはトップセールスマンのノウハウが必要な重要な仕事になるのです。