地方密着で営業している会社の中には「御用聞き営業」が中心で営業活動をしているケースがあります。
一般的に御用聞き営業というと、イメージが悪いのですが、実際に御用聞き営業はダメなのでしょうか。
よく御用聞き営業と対比的に言われる提案営業がありますが、この提案営業を行う上でも御用聞き営業をしているとメリットはあるのです。
- 御用聞き営業とは?提案営業とは?
- 御用聞き営業のメリット、デメリット
- 御用聞き営業は、提案営業がやりやすい理由
御用聞き営業とは?
御用聞き営業は、「顧客から頼まれた商品を探し販売する」営業スタイルになります。
定期的に顧客のところに訪問し、人間関係を構築しながら顧客から言われた商品を販売していきます。
イメージとしては、サザエさんの三河屋のサブちゃんのようなイメージです。
お酒や醤油などサザエさんの家に届けて、その時に次の注文があれば、またそれを持ってくるというような、顧客の御用を聞くので、御用聞き営業と言われます。
地域密着で営業しているような企業の中には、このような御用聞き営業を行っている企業は多く、長年の企業と企業の信頼関係から成り立っています。
また御用聞き営業は、営業をやっている人からは、どちらかというとイメージが悪く、営業力が必要ない営業のように思われがちですが、顧客との信頼関係を維持していく事が重要であり、コミュニケーション力や対応力など、営業として必要なスキルは持っていなければ対応ができないのです。
提案営業とは?
よく御用聞き営業と対比されて言われるのが、提案営業になります。
提案営業は、顧客の課題やニーズを理解し、それを解決するための商品を提案して受注を獲得する営業手法です。
御用聞き営業が顧客から言われたものを、受注するのに対して、提案営業はまだその商品を購入したいと思っていなくても、現状の課題をヒヤリングし、それを解決する方法を提示し、顧客が商品を購入したいと思うように提案していくので、提案営業と言われます。
一般的に「できる営業」と言われる人は、この提案営業が上手いと思われており、御用聞き営業を行っている企業では、提案営業の強化をしたいと思っている経営者や営業マネージャーは多いです。
御用聞き営業のメリット
ここでは、御用聞き営業のメリットをご紹介していきます。
ビジネスが安定する
御用聞き営業は、昔からの顧客を中心にしたビジネスモデルで、固定客が定期的に注文をしてくれるため、事業が安定します。
近年はインターネットの普及で、どこからでも物が買える時代になり、御用聞き営業にとっては事業が縮小傾向にはありますが、まだまだ地方の企業では商品の購入を地元の企業に発注するケースが多いです。
皆さんの会社も、インターネットで購入するケースもあるかもしれませんが、例えばパソコンなら〇〇社みたいないつも発注する会社がある企業も少なくないのではないでしょうか。
顧客との信頼関係を構築しやすい
御用聞き営業は、定期的に顧客先に訪問するので、人間関係の構築がしやすい営業スタイルです。
人間関係の構築できれば、顧客との信頼関係も構築され、いろいろ営業がやりやすい状態を作っていく事ができるようになります。
顧客との信頼関係は、営業にとってスムーズに活動していくためには重要な取り組みになり、御用聞き営業はこのような信頼関係の構築がやりやすい営業スタイルになります。
御用聞き営業のデメリット
ここでは、先ほどのメリットとは逆に御用聞き営業のデメリットを紹介します。
値引きの依頼をされやすいデメリット
御用聞き営業は、顧客と人間関係が出来ている分、顧客も値引きの依頼がやりやすい関係になってしまいます。

毎回発注してるんだから安くしてよ!
このような値引きなどの依頼をよくされます。
営業担当者も顧客との関係性を重視しているので、依頼されればどうしても限界近くまで値引きするような営業もいます。
本来は、人間関係を構築して高くても「あなたから買う」と思ってもらえるのがベストだと思うのですが、そこまでの関係性を構築する事は難しく、値引きの依頼を受けてしまう営業も多いです。
営業の仕事が忙しくなるデメリット
御用聞き営業は、顧客から呼ばれたらすぐに対応するケースが多いです。

ちょっと寄ってくれない?
顧客からこのように呼び出しがあれば、直ぐに訪問する営業も多いです。
このように、御用聞き営業は自分のペースで仕事が出来ず、顧客に振り回されるケースが多くなるため、業務が多忙になりがちになります。
営業担当者によっては、土日の休みの日でも携帯電話に電話があり、仕事をしないといけないようなケースもあります。
営業が属人化しやすくなる
御用聞き営業を行っている企業の多くは、顧客に対して営業担当者を固定して営業活動を行っているケースが多いです。
また、御用聞き営業を行っている企業は人間関係を大切にする考えが強く、営業担当者は同じ顧客を長い間担当するケースが多いです。
そうなると、その顧客の情報はその担当営業の頭の中みたいな状態になり、営業活動が属人化しやすい傾向があります。
御用聞き御用聞き営業は提案営業がやりやすい理由
御用聞き営業には、メリットやデメリットがありますが、やはり顧客と信頼関係の構築が出来る点は御用聞き営業の大きなメリットであり、強みでもあります。
また顧客に定期的に訪問しているので、顧客の会社の状況についても細かく把握でき、どのような業務をしているか?どのような課題があるか?誰が決裁権をもっているのか?など様々な情報を把握することが出来ます。
このような情報は、提案営業をする上で、非常に有利になる情報で、御用聞き営業を行っている企業はちょっと意識すれば、提案営業がやりやすい環境にあるのです。
顧客の情報は把握しているので、あとは想定される課題を考え、訪問した際に話をしてみるだけで、顧客は検討してくれる確率が大幅に上がります。
まったく知らない顧客に新規で提案するのに比べれば、御用聞き営業を行っている顧客に提案する方が明らかに効果がありそうなのは皆様もイメージがつくと思います。
提案営業の必要性を考えている経営者や営業マネージャーの方は多いですが、御用聞き営業が出来ているなら、ちょっとした行動で提案営業はすぐにできるようになるのです。
御用聞き営業はCRMを活用する
御用聞き営業は、デメリットでも書きましたが、属人化しやすい傾向があります。
それを回避する意味でも、CRMのような顧客管理ツールの活用をお勧めします。
CRMについては、「CRMとは?CRMツールの活用法!【顧客を管理し営業効果を拡大】」で詳しく書いていますので、参考にしてください。
CRMに顧客の情報や契約情報など登録し、管理していく事で、顧客を企業の資産として管理できるようになります。
また営業マネージャーなども、顧客情報から更なる深耕営業ができるような戦略を考えていく事が出来るようになります。
顧客の情報が担当営業の頭の中だけというようなケースは、このような更なる事業拡大を目指す営業戦略を立てにくい状態になってしまうのです。
まとめ
御用聞き営業は、営業をしている人からすると営業力が必要ない、営業活動のようなイメージがあるかもしれませんが、御用聞き営業が出来ているのであれば、提案営業もやりやすく更に顧客との信頼関係も構築できるようになるのです。
御用聞き営業が出来ているのは、企業にとって強みであり、それを活かすための営業活動を戦略的に行っていく事が成果を拡大していく為には重要になるのです。
顧客との信頼関係の構築は、営業活動を行う上で、非常に重要で信頼関係があれば提案の幅を大きく広げることが出来るようになるのです。